多様な提供形態をとる空間情報システム――パスコ地図情報がビジネスチャンスを見つけ出す! 第2回

地図情報の王道であるGISを切り口に、先進的なベンダーの戦略を紹介しながら、現在と今後の地図情報の活用のあり方を見ていく。今回はGISを構成する4つの要素のシステム開発力を強みとするパスコのサービスを紹介する。

» 2006年09月07日 08時00分 公開
[ロビンソン,ITmedia]

 世界最大のマッピング企業であるパスコは、GISを構成する4つの要素、地図データとエンジン、アプリケーション、サポートを統合するシステム開発力が独自の強みとなっている。

 『マーケットプランナー』は、企業が所有するデータベースと国勢調査や商業統計などをもとに、地理的分析を行うエリアマーケティングシステムをパッケージ化したものだ。少ない投資で利用できるASPバージョンと、高度な分析が可能なスタンドアロンのGISバージョン、そして業務スタイルに合わせてカスタマイズが可能なイントラネットバージョンがある。2006年4月現在で、GISとASP合わせ約1000ライセンス、企業数では約800社が利用している。

パスコ「マーケットプランナー」の利用イメージ

 また、『ロジスター』シリーズは、配送計画と動態管理で運行管理を支援するシステム。この特徴は3つある。1つは拠点分析。配送拠点から最短で到着する顧客のカバー率を見て、各拠点間の最適な配置の答えを導き出す。2つ目は配送計画。日常の配送業務において、どのようにコース計画を立て、何台配車をすれば最も効率が良いかをシミュレートする。VICS統計情報も考慮するなど、最短で最も少ない車両数を見極められる。そして3つ目が動態管理。車両・作業員の現在位置や作業状態を把握することで、顧客の要請に応じた作業の指示や、安全運行への励行などを支援する。このロジスターも、2005年6月からASPでも提供している。「当社は地図作りを進めてきた中で、道路ネットワークデータの階層化を十数年手がけてきました。これらはそのロジックやノウハウをパッケージ化したものです」と語るのは、同社システム事業部ビジネス営業推進部部長を務める塗木義武氏だ。

 その他、GISを活用した『帰宅支援マップサービス』もASPで提供されるサービスだが、特に最近では引き合いも多いという。最も危険度が少ない最短経路を導き出すGISの要素技術を利用しているが、ゼロからコンテンツを作り上げる技術と、それをハンドリングするソフトウェアの開発力が実現したサービスだ。災害後の社員の安全な帰宅はもちろん、企業のビジネスを継続するためのBCP(事業継続計画)を実現するものとして注目されている。

 民間向けの地図市場は業種・業態に関わらず無限大に広がっていると言う塗木氏はさらに、「企業にはさまざまな情報が蓄積されており、それと地図情報とが組み合わされることで、見えていなかった価値が見えてくるのです。その宝の山に気づいてもらうことが、当社の使命であると考えています」と力を込めて語った。

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